書籍「世界家庭料理の旅 おかわり」(イースト・プレス)2023年7月20日発売! | 織田博子(オダヒロコ)ポートフォリオ oda Hiroko portfolios

書籍「世界家庭料理の旅 おかわり」(イースト・プレス)2023年7月20日発売!

2010年から続けてきた「世界家庭料理の旅」を描きおろしてまとめました。スリランカ、イタリア、インド・ラダック、フィリピン、モンゴル、ミャンマー、スイスの家庭料理と、世界のアイス、世界のお菓子を紹介。

Amazonで購入はこちら

世界家庭料理の旅 おかわり (コミックエッセイの森)

お試し読みはこちら

シリーズのメディア掲載

釧路新聞

書評が釧路新聞さんに掲載されました。

簡単なレシピとともにそれぞれのお国柄や食文化、旅のエピソードが盛り込まれ、読んでいるとちょっとした旅気分が味わえる。

家庭料理を共にしたことで、遠く離れた人たちと新しいつながりが生まれ、離れていても切れることはないと著者は語る。新型コロナ感染拡大で社会が困難に直面する今、家族や友人と囲む食卓のありがたさを教えてくれる。

釧路新聞

書評

しば田ゆき(オトナリ珈琲

「家庭料理のレシピを世界各国で聞いたら面白いかも」という発想のもと、彼女は世界家庭料理の旅に繰り出しました。全編カラーのこの作品では、その国の食事も質感や温度感まで伝わるイラストで魅力的に伝えています。ページをめくりながら、その聞いたこともない名前の料理を何度も「食べてみたい」と思いました。


しかしこの作品を読み進めるとそれはいずれ目的ではなく手段にすり替わっていることに気が付きます。彼女がそれぞれのエピソードの最後に記しているのは料理の味についてよりむしろ、その人たちがどんな人だったかということや、彼らとの関係性の話です。
例えば私だったら現地の「料理教室」に行くことはあっても、本当に一般のご家庭の厨房で食事を作って教えてもらおうという発想にはなりません。そこには彼女がこの旅で「人との出会い」を大切にしているということが垣間見えます。


織田さんは料理の作り方を教えてもらうために人に会うのではなく、人に会うために料理を教えてもらっていたのではないでしょうか。
「同じ釜の飯を食う」という言葉があります。2020年を境にオンラインでの「リモート飲み」も普及した今だからこそ言えるのは、同じ釜の飯は「同じ釜」からしか食えないということです。「同じものを食べる」という行為は、その場にいる人しかできません。


様々なことをオンラインでできるようになり、いよいよ「人と会う」ことに理由や言い訳を必要とすることが増えました。


私が務めていたカフェで、織田さんは「朝ピロシキの会」というイベントを企画していました。「朝ピロシキの会」は、織田さんがお客さんにロシアの家庭料理である「焼きピロシキ」の作り方を教え、皆で一緒に食べるというイベントです。

織田さんはピロシキを作るプロではありません。だからこそ、そこに人が集まることには「美味しいピロシキの作り方を教わる」以外の理由があると思いました。企画を続けて感じたのは、それは織田さんのことを好きな人が、織田さんと話をするために来ているということでした。集まった皆さんはピロシキを食べながら織田さんと話を楽しんだり、サインをもらうなどの行為を楽しんでいました。これも「食べる」行為をきっかけに、人と出会うことを目的にしていると言えそうです。


海外に行くことが厳しくなった今、織田さんは改めて人と会うこと、そしてそれが「食べる」をきっかけにしていることの重要性が浮き彫りになるような活動を自身の活動の中で一貫して行っています。


さて、料理研究家の土井善晴さんは「家庭料理は民藝だ」と言います。民藝とは柳宗悦が1926年に提唱した運動で、「日常生活と手仕事の中にある美」を称賛する思想から成っています。


私はコーヒーを仕事にしています。業界内では、たとえ同じコーヒー豆を同じ量使って同じいれ方でいれたとしても、様々な条件の変動により、全く同じ飲み物は作れないということは常識のように知られています。また生産国で名高い賞を獲ったコーヒー豆でも、船に乗って日本に運ばれてきたら味が変わっていた、という話も聞きます。


また、東京には世界中の料理が美味しく食べられる店がたくさんあります。そこで出される料理は織田さんが学んできた料理と何が違うのでしょうか?
織田さんは世界を旅する漫画家であり、同時に2人の子どもがいる主婦でもあります。彼女自身、世界各地の家庭料理を学び、それを日本の地で日本の食材で彼女の手で作り上げてご家族と食べています。これが日常の中に存在することも、織田さんの作品のひとつだと思います。


日常生活の中に彼女の世界家庭料理の旅が組み込まれていくことは極めて個人的で、だからこそ「民藝的」な側面があると思います。「家庭料理」という文化が現地の人と行う「調理」という行為を経て国を超えて織田さんという個人の日常生活に落とし込まれること。


私たちはインターネットで隔たりを緩和しながら、逆にその交わり得ない部分の隔たりを感じてきました。日常生活の行為の中に世界中の方の行為を移植するように植え込みそして楽しむことは、現代のわたしたちが一人一人向き合うべき日常への文化的取り組み方ではないでしょうか。

世界家庭料理の旅の歴史

2010年、会社を辞めてユーラシア大陸一人旅に出かけました。テーマは「世界家庭料理の旅」。

7か月、20か国を訪問した記録をフリーペーパー「世界家庭料理の旅」として紹介。

そのフリーペーパーがきっかけとなり、「女一匹シベリア鉄道の旅」でマンガ家デビュー。
様々な国や日本に住む外国の方に家庭料理を教えてもらい続けてきました。

それらの活動の集大成となる「世界家庭料理の旅」としてまとめられたことを嬉しく思います。