劇場版BUCK-TICK バクチク現象 – New World -Ⅰ(2025年2月21日~上映開始)見てきました【微妙にネタばれあり】 | 織田博子(オダヒロコ)ポートフォリオ oda Hiroko portfolios

劇場版BUCK-TICK バクチク現象 – New World -Ⅰ(2025年2月21日~上映開始)見てきました【微妙にネタばれあり】

感想が長くなったのでブログにしてみました。完全にファンの人しか意識していない文章なので、BUCK-TICK知らない人、すみません。

ファンによる、ファンのための、ファンの映画

稀有なドキュメンタリー映画でした。こんな熱量で作られる作品を見られることは幸せ。

2023年10月にボーカルの櫻井さんが亡くなり、その生前の姿と、その後が描かれるため見ることを躊躇しているファンの方も多いと思います。見るタイミングは人によると思うけど、この作品はファンの方には全力でおすすめしたい。

というかファン以外を全く想定してないような思い切った作品にされた、監督の岩木勇一郎さんの勇気に敬意を表してこのブログを書いてる。

二部構成のドキュメンタリー、ということはきっと「あの日」が…

この映画は全国のシネコンで2025年2月21日より公開。また、櫻井さんが亡くなってからの作品。ということは、前作「劇場版BUCK-TICK バクチク現象Ⅰ・Ⅱ」とは違い、一般の方が見ることも想定されているのではと予想。

もし私が、BUCK-TICKのことをあまり知らない状態でこの映画の監督をするとしたら、第一部の「ヒキ」(続編を見たくなるための仕掛け)として「あの日」を持ってくる。そしてバンドの物語を盛り上げると思う。

でもこの作品では…

語らない人たちから監督が学んだ、危機感

BUCK-TICKの皆さんはすごく無口だ。作品と背中でしか語らない。このタイパ、コスパの世界でなんとまあ不合理な姿勢だろうと思う。それでも彼らの創作物や姿勢は雄弁に語ってくれるから、私は彼らの作るものが大好きだし、彼らが大好き。

そしてこの作品も、ナレーションはゼロ、演出は「空気を記録する」。
淡々と流れていくように見えるこの映画の魅力は、緻密なレコーディングやライブのリハ、他のスタッフとの関係性、ご本人たちの人間性によって、BUCK-TICKの作品が生み出されていることを映像のみで伝えていることだと思う。

パンフレットを読むと、岩木監督はもともとBUCK-TICKのファンであるらしい。そのファンとしての視点と、商業映画監督としてのギリギリのバランスの中でこの作品を作られた。

BUCK-TICKの背中から学んできた岩木監督だからこそ作れた熱量の作品だと思う。

ーBUCK-TICKは常に危機感を与えてくれるアーティストだと思っているんですよ。(パンフレットより)

岩木監督もまた、「自分がかっこいいと思ったもの」を追求するアーティスト。

アーティスト同士の奇跡のコラボでこの映画は稀有の作品になっている。

ものづくりの視点から

商業作品を作るとき、キャスティングでその作品のファンが選ばれることはなかなかない。才能とスケジュールと予算と、ファンであることがすべて成立することはなかなかないから。

もしファンが奇跡的にバッティングされ、その他の条件が合ったとする。たとえば私がBUCK-TICKのコミカライズとかすることになっても「ほんとすきですまじで尊敬してます」以外のことが言えない。全く客観的になれない。好きすぎるものは言語化できない。客観的ではない作品なんて死ぬほどつまらない。

↓言葉のプロである三浦しをんさんですら中学生の少女に戻って語彙を無くしたインタビュー(大好きで何度も読んでます…)

というわけで、ファンである岩木監督が、ファンの気持ちになり、また一時の話題作りには走らずファンのことを思って作った、稀有なドキュメンタリー映画。

BUCK-TICKへの思い(おまけ)

BUCK-TICKは「アーティストに尊敬されるアーティスト」だと思っている。
私は中学生の時に彼らの音楽に触れてファンになり、25年以上たつ。当時から「自分たちのかっこいいと思う事に突き進む」という姿勢に憧れていた。

しかし、奇妙な縁でマンガ家としてデビューし、創作業の一端を担ってみて、ふと

コンスタントにこのクオリティの新作を出し、ライブをし続けるBUCK-TICKってバケモノでは…

と気づいた。

常に新しい音楽ジャンルに挑戦し、淡々とすごい速さで走り続けるBUCK-TICKの皆さんを尊敬しています。たとえフロントマンを失っても、その次の年に武道館ライブやっちゃう。大きな悲しみを抱えながらも、そこに希望を見出している。

「一生ついてきます」と思った今井さんの言葉

個人的な感想(ふつーのファンとしての)※ネタバレあります

前回の作品はレコーディング風景が多めで、「こんなに緻密に音を積み重ね、修正していくんだ…!」と圧倒された。ちょうどマンガ家として行き詰っていた時だったので、「BUCK-TICKさんがこんなことやっているのにペーペーの私が泣き言してる場合じゃないな」と思った。

レコーディング撮影が多かったからかメンバーの方も意識したのか、おしゃれなTシャツを着たりしていた。
櫻井さんの着ていたヒグチユウコさんのねこのタコみたいなのかわいかった。
星野さんはおろしたての目のないクマのシャツを着ていた。

今回の作品ではライブ多め、曲も長め。MOONLIGHT ESCAPEのフル演奏は心に来た…。

あと、合間のカットによく水とか雨の映像が入るイメージだったけど、今回はラストの波の音のみ(他にもあったかも)。

あと、ISSAYさんと櫻井さんの「愛しのロックスター」の共演が見られたのは極上の体験だった。二人とも、天国でまた共演しているかな…しかしISSAYさんってほんと、坂本眞一先生が作画したみたいなお顔をされている。

Amazonより

ところで、聞き逃しかもしれないんだけど、アニイのバースデイライブで「3年後には今井、ヒデの還暦を、そのあとはユータ」と言ってて、櫻井さんの名前漏れている…?って思いました。聞き逃しただけかも。

櫻井さんのレコーディングの時の、ファンへのメッセージ…予言めいていてかなり心に来ます。会場の方も涙されていました。でも櫻井さんって、いつもこうやってファンの体の気づかいしてくれてたよね。

櫻井さんがホヤのぬいぐるみで遊んでいて、そのあと来たユータさんもおなじぬいぐるみに引っ掛かっているのが面白かった。

映画の説明

劇場版BUCK-TICK バクチク現象 – New World -Ⅰ

1987年にデビューして以来、不動のメンバーでロックシーンの最前線を走り続けるBUCK-TICK。唯一無二のたたずまいで、傑出した作品を生み出し続けてきた彼らは、ロックファンのみならず、ミュージシャンたちの”夢”のような存在でもあった。しかし、その道程は決して順風満帆なものではなかった。