「まんがるゥのこれも学習マンガだ!Navi」vol.19更新「その女、ジルバ」(立川まんがぱーく) | 織田博子(オダヒロコ)ポートフォリオ oda Hiroko portfolios

「まんがるゥのこれも学習マンガだ!Navi」vol.19更新「その女、ジルバ」(立川まんがぱーく)

衣食住には困らないけど「お先、真っ暗だ」と無意識につぶやいてしまうくらいには行き詰まった40歳女性のアラタ。ひょんなことから、40歳以下お断りの高齢ホステスのバーで働き始め、様々な人生に触れていくうちに視野が広がっていく。故人であるバーのオーナーの女性「ジルバ」の人生をひもといていく物語。

明るく踊る熟女たちの表情がとてもリアルで印象的な1巻の表紙に惹きつけられます。それぞれの人生が語られる中で輪郭をとっていく、オーナーのジルバの人生。ジルバは故人であるがゆえに心のうちは語られず、ただ彼女の人生の軌跡でのみ彼女が語られて行きます。この手法が見事。

有間しのぶ先生の人へのまなざしの鋭さ、あたたかさが作品の中にあふれています。それぞれの登場人物の行動や好み、ちょっとしたセリフの中にお人柄や人生を垣間見させる。近所のマンションに住んでいるんじゃないかと思うくらい、リアルで体温を感じさせるキャラクター達の描き方が見事としか言えません。

ちなみに私が好きなのは、ナマコ。近所に5人はいそうなビジュアル、そこそこ暗くない過去、旦那さんとラブラブ、良くも悪くもとても普通。ジルバの壮絶な人生や、雰囲気がありすぎるくじら姐さんなど、濃いキャラの中でとてもリアルな感じ。

ブラジル移民のテーマはマンガでは珍しいけど、人生を追体験しやすいマンガはこのテーマに向いている気がします。日本が富を求めて日本人の移民を支援していた時代。不況や戦争によって、移住先の生活はゆらいでしまう。「勝ち組」の本来の意味(第二次世界大戦の日本の降伏後も、日本の敗北を信じず、「日本は戦争に勝った」と信じていた在外日本人のグループ)をこの作品で知り、「インターネットがない時代は大変だな」と思って読んでいると「今の陰謀論とか、デマとかの構造と同じだ…今の時代でも同じことが起こっている…」と気づき背すじに冷たいものが走りました。

まんがるゥのこれも学習マンガだ! NAVI

「学習目的」で制作されたわけではないけれど、読んでいくと自然に知識が身につくマンガを紹介していきます。

vol.17 「キュロテ」(ペネロ-ペ・バジュー)

vol.16 「Dr.STONE」(稲垣理一郎・Boichi)

vol.15 「フイチン再見」(村上もとか)

vol.14 「フイチンさん」(上田とし子)

vol.13 「ベルサイユのばら」(池田理代子)

vol.12 「バンド・デシネ 異邦人」(ジャック・フェランデス)

vol.11 「昭和元禄落語心中」(雲田はるこ)

vol.10 「ナニワ金融道」(青木雄二)

vol.9 「ツレがうつになりまして。」(細川貂々)

vol.8 「凍りの掌」(おざわゆき)

vol.7 「ブッダ」(手塚治虫)

vol.6 「サトコとナダ」(ユペチカ)

vol.5 「ミノタウロスの皿」(藤子・F・不二雄)

vol.4 「岳」(石塚真一)

vol.3 「チェーザレ 破壊の創造者」(惣領冬実)

vol.2 「寄生獣」(岩明均)

vol.1 「ヴィンランド・サガ」(雪村誠)