目次
連載「世界の家庭料理をめぐる旅」、スタート!
はじめまして!
「食を旅するイラストレーター」織田博子です。いろいろな国をめぐり、現地の人と料理を作り、地元の市場をめぐり、ともに食卓をかこむ旅をしています。
「世界の家庭料理」の魅力的な世界を、イラストと文章で伝えていきたいと思います。
今回の家庭料理は「アルジェリア」 !
「アルジェリアってどこ?」という声が聞こえてきそうです(というか、私もです…)。
北アフリカのマグレブ地方に位置し、モロッコやチュニジアと似た文化を持つ国。
日本にとってなじみの薄い国ですが、日本でも人気の炭酸オレンジジュース「オランジーナ」は、実はフランスではなくアルジェリア生まれなのだとか。
アルジェリア料理ってどんな料理?
地中海に面したイスラム教国、アルジェリア。歴史的に様々な国と関わり、多彩な食文化を形成してきました。
アルジェリア料理は、僭主国トルコやフランス料理の影響を受けています。
また、原住民族であるベルベル人の料理の文化の影響も色濃く残ります。
アルジェリアでポピュラーなクスクスはベルベル由来の料理です。モロッコ、チュニジアなど広い地域で食べられています。
「アルジェリア料理を食べてみたい!」…でも、レストランがない?!
さっそく、東京にあるアルジェリアのレストランを探してみる。
ということであきらめていたアルジェリア料理。
しかし、東京でアルジェリア料理を提供してくれる人がいるということを「KitchHike」で知り、さっそく行ってきた!
※「KitchHike(キッチハイク)」は、ご飯を作る人と食べる人を食卓で繋ぐサービス。
東京・葛飾でアルジェリア料理をいただきます?!
東京・葛飾区。夕暮れ時には買い物帰りのお母さんたちが自転車で走り、
焼き魚の匂いがどこからともなく香るような、東京の下町の風景。
これからアルジェリア料理を食べに行くなんて、なんだか不思議。
はじめてKitchHikeを利用するので、ちょっと緊張しつつ呼び鈴を押す。すると、今回料理を作ってくれるモハメドさんが、まるで友達を招くように迎え入れてくれた。ホッと一安心。
モハメドさんはイスラム教徒のアルジェリア人。
日本で働いて半年、その前はフランスで働いていたという超国際派!
キッチンでは大量のクスクスを蒸していて、むわっとした空気。
この空気、「家庭料理を食べに来たー!」とテンションが高まる。
その合間にモハメドさんはササッとクレープを焼き、お皿に積み上げる。
カナダ人ショーンさん、日本人リョウコさんがお手伝い。
クレープにピーナッツバターをたっぷり塗り、キウイとバナナをのせ、
砕いたビスケットとはちみつをかけ、
くるっと巻いて出来上がり。
ピーナッツバター、バナナ、キウイという組み合わせが、やっぱり日本の感覚と違う。
どんな味になるのか気になったけど、これは食後のお楽しみ。
ちゃぶ台と畳という、日本的なお部屋に9人(モハメドさんのお友達もたくさん来ていた)が座り、
「ビスミッラ!」(いただきます!)
※本来は「ビスミッラー アッラハマーン アッラーヒム」で、「慈悲深きアッラーの御名において」。
いただきまーす!
前菜は、アボカドとトマトのサラダ。ケフタと共に、ピタに包んで食べる。
アボカドの濃厚な味わいと、お肉の香ばしさがたまらない。
そして、「鶏肉とひよこ豆のトマト煮込み」。
大きな土鍋の蓋を開けた瞬間、ほわっ!と湯気とともにトマトと鶏肉のいい香り。
トマトベースでスパイスは少なめで、イタリア料理にも似ている。
鶏肉が口の中でホロホロっとほどける。
ピタがすごい勢いで減っていく(そして1枚1枚丁寧に焼いて持ってきてくれるモハメドさん)。
このトマトベースのソースは「レッドソース」だそうで、
「ホワイトソース」の料理もあるのだとか。
さらに、「ラム(羊肉)とひよこ豆のホワイトソースとクスクスの煮込み」。
クスクスにラムのうまみたっぷりのスープをかけて食べる。
ラムの臭みは少なく、和食にも似たふわっとした優しい味。
…と意味不明の感想を述べつつ、3杯もおかわりいただいてしまった。
お待ちかねのデザートは、フランス×アフリカのコラボレーション「ピーナッツバターのクレープ」
この後、さっきのクレープが登場。
ピーナッツバターとバナナの濃厚な舌触りと、さわやかなキウイの味がベストマッチ。
サクサクした食感のビスケットもいい感じ。
ピーナッツバターはアフリカでよく使用される調味料なので、
フランスのクレープとアフリカのピーナッツバターのコラボが面白い。
「おなかがいっぱいでもう無理…」と思いきや、これも完食。
英語と日本語が飛び交うおしゃべりとおいしい料理で、あっという間の3時間半でした。
モハメドさんの、アルジェリア料理への思い
今回、印象に残ったのはモハメドさんの言葉。
「アルジェリアってどこにあるんだろう?」というくらい、アルジェリアについて知らなかった私。
でも、初めてアルジェリアの家庭を訪れ、食卓を囲み、
モハメドさんのあたたかいもてなしを受けた体験は、
私とアルジェリアの距離をぐっと近づけてくれた。
モハメドさん、ごちそうさまでした!
レシピ
ラム(羊肉)とひよこ豆のホワイトソースとクスクスの煮込み
材料
- ホワイトソース(4人分)
- バター 50g
- オリーブオイル 大さじ2
- 塩、ブラックペッパー 少々
- タマネギ 1個
- 鶏肉かラム肉(牛肉は固くなって美味しくないのでNG) 500g
- ひよこ豆 100g ※一晩水につけてもどしておく
- ズッキーニ 1本
- 水 適量
- クスクス
- 乾燥クスクス 500g
- 水 250ml(クスクスの半量)
- バター 50g
- 油 大さじ1
- 塩 少々
ホワイトソース
- バター、油、塩、ブラックペッパーを圧力鍋にいれ、タマネギを圧力鍋に入れ、香りが出るまで弱火で5分ほど炒める。
- 肉を中火で10分ほど焼く。
- 水で戻したひよこ豆、ズッキーニを入れ、水をひたひたに入れる。
- 4. 圧力鍋に入れ、強火で加圧する。おもりが回ったら中火で20分。
クスクス
- 大きなフライパンにクスクスと油を入れ、手で混ぜる。
- 水を加え、5分ほど置く。だまにならないよう注意。指で塊をほぐす。
- 蒸し器の最下段に水(容器の2/3ほど。分量外)を入れ、火にかける。蒸気が出てきたら、塩を混ぜたクスクスを最上段にセットし、5分ほど蒸す。冷めたら指で塊をほぐす。
- (食べる直前に行う)3に塩とバターを混ぜ、再び蒸す。手順は3の通り。
5. クスクスにホワイトソースの具材、煮汁をしっかりかけ、できあがり。
イスラム系の食材が手に入る場所
今回は上野センタービル地下「野沢屋」でクスクス、ひよこ豆を購入しました。
amazonでも購入できます。